奨学金を借りている大学生に必読レベル「ブラック奨学金」今野晴貴著

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こんにちは。ミドノンです。
今週読んだ本を紹介します。

今週読んだのはブラック奨学金です。

奨学金を借りた人、いま返済している人、親戚が奨学金を借りている人、奨学金の保証人になった人は必読レベルの本だと思います。
時間の無い方は1章と7章だけで良いので読んで下さい。

なぜこの本を読んだのか

自分自身が奨学金を使用しており、10月から返済が始まる。

最近、奨学金の返済が原因で自己破産するケースが多いと聞き、自身が返済できるか不安になった。
その不安を解消するためには奨学金についてもっと知る必要があると感じたため。

ちなみに知ったきっかけは生涯投資家に宣伝チラシが入っていたこと。

基本情報

どんな本か

いまや約4割の大学生、100万人以上が借りる奨学金。
だが、容赦のない取り立てと厳しいペナルティで返済に行き詰まり、親戚にまで厳しい請求が行く例が相次いでいる。
奨学金で人生を棒に振らないための処方箋をここに公開!

(カバー裏より引用)

書名の通り、奨学金について否定的な面から述べている本。
奨学金により人生プランが狂った具体的なケースの紹介やそのパターン分析、また日本の教育費政策を世界と比較して論じてもいる。

近年話題になっている「給付型奨学金」についても述べており、新しい知見があった。
7章の奨学金を返済できなかった時にすべき行動はとても役立ちそうだった。
(その機会がないのが一番だが……)

目次

  • まえがき 奨学金でローン地獄に突き落とされる若者たち
  • 第1章 奨学金返済の実態
  • 第2章 苛酷な取り立ての実態
  • 第3章 「延滞金地獄」のパターン分析
  • 第4章 世界に逆行する日本の教育費政策
  • 第5章 若者を奴隷化する日本の奨学金政策
  • 第6章 「新しい奨学金」の利用法と注意点
  • 第7章 必読!返せなくなったときの対処法
  • あとがき 日本の教育は世界から転落する

他人事に思えない具体的な事例

本書の第1章「奨学金返済の実態」で奨学金により人生設計が狂ったケースとして次の6つを紹介している。

  1. ブラック企業へ入社し、就労不能。返済できなくなる。
  2. 非正規からブラック企業へ転職するも就業不能。返済できなくなり祖父に請求が。
  3. 甥の奨学金の保証人になり、甥本人が返済できず請求が自分へ。
  4. 姪の奨学金の保証人になるが、甥本人との連絡がつかなくなり請求が自分へ。
  5. ブラックバイトのため成績不振となり奨学金打ち切られて退学、借金のみ残る。
  6. 入学金免除、授業料免除を利用し国立大に進学するも奨学金だけでは足りず、アルバイト。アルバイトが忙しくなり、成績低下で不免除、留年、奨学金打ち切り、退学、借金のみ残る。

この6つのケースのうち、奨学生本人の意識が甘いケースも確かにある。
奨学金を借りて大学で何を学ぶか、その後どのようにしてお金を稼くのか、どのくらいの額を稼ぐのかの計画をたてず、モラトリアムを楽しむために進学するケースだ。
このようなケースでは返済できないのは当然の帰結かもしれない。

特に「奨学金を借金だとは思っていなかった」や「親が返すはずだった」などはその最たるものだ。

だが、そうではないケースも多い。

  • 奨学金だけでは生活費が賄えないために始めたバイトがブラックバイトだったケース
  • 親族の病気によりキャッシュフローが崩壊したケース
  • 成績を維持していたにも関わらず、授業料免除が認められなかったケース

など、本人ではどうしようもないケースだ。

本人ではどうしようもないケースに対して、どのように対処すればいいのか。
本書でも答えは出ていない。
裕福な家庭の者以外は大学に進学する資格はないのだろうか?
貧しくとも優秀な学生に教育のチャンスを与えるのが奨学金の本意ではないのだろうか。

最後に1章のまとめから引用する。

日本の奨学金制度をめぐる現実はあまりにも厳しい。非正規雇用やブラック企業が蔓延し、返済できないことも珍しくはなく、返済が滞れば家族・親類にまで請求がおよぶ。だが、奨学金抜きの進学もきわめて難しい。アルバイトを掛け持ちしながら大学に通っても、学業そのものを害したり、就職活動に支障をきたすこともあるのだ。
そしてそれは、どんなに将来有望な若者であっても、決して例外ではないのである。

奨学金の返済に困る前に

7章では奨学金の返済に困った際に使える手段の紹介・解説を行っている。
最悪、この章だけでも良いので読んでほしい。
紹介されているのは次の3つ。

  1. 減額返還
  2. 返還期限猶予
  3. 返還免除
  4. 自己破産

こまかい内容については本書を読んでほしいが、注意すべきことがある。
それはJASSOの救済制度は「申請主義」を採用していることだ。
つまり給料が低いからといって、自動的に返済額が低くなったり、期限が猶予される訳ではない。
この手続は書類が多く、煩雑ではあるがきちんとやろう。

さらに延滞していると、これらの救済制度を使えない場合もある。
早め、早めに手を打とう。

また、返還免除は本人が死亡していたり、病気で働けなくなったりした場合など、かなり限定されているが、これも申請しなければ免除されない。
つまり、「奨学生が死亡して延滞、保証人が請求された」ときには免除されないのだ。
親や親戚などの保証人になってくれた人に迷惑をかけないためにも、「もしも」の際にどうするべきかを伝えておきましょう。

まとめ

この本を読んだ目的

もうすぐ奨学金の返済が始まるため、奨学金への関心が高まった時に本書を知った。
奨学金を返済する上での注意事項を知りたいと思い、読んだ。

良かったこと、感じたこと

返還が難しいときの救済制度は延滞時に使えないこともあると知った。
「ヤバイ」と思ったら早めに申請しようと思う。

また、死んだら免除と思っていたが、手続きが必要なことを知ることができてよかった。

どう活かすか

連帯保証人(親)と保証人(親戚)に死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除のページを伝えておく。

将来、他人の奨学金の保証人になる際は連絡を密にするようにする。

意図せず滞納してしまわないように引き落とし口座を地銀から変更する。

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