今週読んだ本は東大や京大で売れている本として、ちょっと(かなり?)前に有名になった外山滋比古(とやま しげひこ)さんの「思考の整理学」。
卒業間近に学校の図書館から廃棄図書として貰ったのを忘れていました。
古い本だけど、話題になるだけあって現代にも当てはまることが多かったです。
いろいろな人に読んでほしいので紹介します。
なぜこの本を読んだのか
昔、話題になっていたので読んでみたいと思っていた。
まぁ、その割に持っていたこと自体を忘れていたのだが……
また、「思考の仕方」や「アイデアの整理方法」について、系統立った知識を手に入れることを期待して読んだ。
基本情報
どんな本か
卒論などでテーマを決めるときなどに役立つ、「アイデアを出すのに役立つ方法」や「出したアイデアの管理方法」なども書かれている。
しかし、メインはそのようなHow toではない。
- 筆者が思考する際にどうやっているのか
- そもそも「考える」とはどういうことか
について述べている部分が多い。
目次
1
グライダー
不幸な逆説
朝飯前
2
醗酵
寝させる
カクテル
エディターシップ
触媒
アナロジー
セレンディピティ
3
情報の“メタ”化
スクラップ
カード・ノート
つんどく法
手帖とノート
メタ・ノート
4
整理
忘却のさまざま
時の試錬
すてる
とにかく書いてみる
テーマと題名
ホメテヤラネバ
5
しゃべる
談笑の間
垣根を越えて
三上・三中
知恵
ことわざの世界
6
第一次的表現
既知・未知
拡散と収斂
コンピューター
気になった部分
個性とは
酸素と亜硫酸ガスをいっしょにしただけでは化合はおこらない。そこへプラチナを入れると、化学反応がおこる。ところが、その結果の化合物にはプラチナは入っていない。プラチナは完全に中立的に、化合に立ち会い、化合をおこしただけである。
詩人の個性もこのプラチナのごとくあるべきで、それ自体を表現するのではない。その個性が立ち会わなければ決して化合しないようなものを、化合させるところで、”個性的”でありうる。
現代ではとかく「個性」というものが重視され、求められる。
おもしろいアイデアや製品など発想の源泉は個性である。
ただ、個性そのものが面白いのではない。
なぜなら個性は知識や事象を結びつける触媒であり、直接、表面にあらわれるものではないからだ。
また、素材である知識や事象そのものが面白いものである必要はなく、周知されているものや陳腐なものでよい。
触媒作用によって生まれるものが面白かったり、面白くなかったりするのである。
どのような素材を組み合わせるのか、どのように素材を手に入れるのか、ということにこそ「個性」がでる。
一見、一緒にできないようなものを悪魔合体させると、良い感じになることもあるらしい。
知識の蒐集
知識をあつめるときに、系統的蒐集ということが大切である。なんでも、おもしろそうなのは片端からとり入れたりしていると、雑然たる断片的知識の山ができてしまう。調べる前よりもかえって頭が混乱してくる場合すらある。
調べるときに、まず、何を、何のために、調べるのかを明確にしてから情報蒐集にかかる。
これはすごく心当たりがある。
本を読んだり、人と話したりして面白いと思って頭に残る知識はある。
でも系統だっていないので、かゆいところに手が届かなくて残念な思いをするのだ。
この思いを奇貨として知識をつけるときには「何を、何のために調べるのか」を明らかにしたいと思う。
忘れるものは価値観にもとづいて忘れる。おもしろいと思っていることは些細なことでもめったに忘れない。価値観がしっかりしていないと、大切なものを忘れ、つまらないものを覚えていることになる。
せっかく得た知識もそのままでは忘却してしまう。
一様に忘れていくのではなく、面白いとおもったことは記憶に残り、それ以外が消えていく。
ここで重要なのは「大切なもの」が残るのではなく、「面白いもの」が残るということだ。
「面白い」と「大切」が重なっていれば良いが、そうではないことも往々にしてある。
この2つをすり合わせるためにも、情報収集するまえに「何を、何のために調べるのか」を明らかにし、「自分がどのようなことを面白いと感じるのか」をしっかりと把握すべきである。
まぁ、本筋から離れたことほど面白く感じる、というのはよくあることだけどね。
他人を通して自分を見る
自分はどういう考え方をしているのか、ということを意識するには、ほかの人の型に触れるのが有効である。
日常の中でも他人を見ることはできる。
でも、身の回りには似たようなパターンの人間が多い。
そのため、他の型を見るためには能動的に行動しなければならない。
違う環境に飛び込むのが一番だが、なかなか難しい。
読書やインターネットでは心地よい(自分と波長のあう)もの以外にもアクセスするようにしたい。
このブログが誰か1人でも「考え方の型」を考える際の助けになれば嬉しく思うし、そうなるように努めたい。
まとめ
この本を読んだ目的
「思考の仕方」や「アイデアの整理方法」について、系統立った知識を手に入れることを期待して読んだ。
良かったこと、感じたこと
「個性」は組み合わせる能力ということは思いもよらなかった。
情報収集する際の前準備が大切だということはとても共感できた。
古い本だったが、いつの時代にも当てはまりそうな普遍的な真理が書いてあると感じた。
どう活かすか
アイデアを出す際は全くのゼロから考えるのではなく、「組み合わせる」ことを考える。
その際に、一見、一緒にできないようなものを悪魔合体させるように意識する。
コメント